省エネ性能プラスαで選びたい エコカー向けタイヤ3(+1)選(2019年春版)

ハイブリッド車が登場して以来、クルマ選びの際に重視すべきポイントとして、燃費性能が特に注目されるようになりました。いわゆる「エコカー」と呼ばれるクルマの選択肢は豊富になり、各自動車メーカーが競り合っている状況です。
そして、この傾向はタイヤメーカーにも波及しています。クルマの燃費性能に好影響を与えられるよう工夫した、いわゆる「エコタイヤ」も、クルマと同様に進化を続けており、今や選択肢も多くなりました。しかしその一方で、どのタイヤが本当におすすめなのか分かりにくいと感じる人は多いでしょう。
今回はそんな「エコカー向けのタイヤ」をテーマとして、クラフト中川店の安藤店長におすすめのタイヤを選んでもらいました。

省エネ性能プラスαで選びたい エコカー向けタイヤ3(+1)選(2019年春版)

近年のエコタイヤは性能が優秀


クルマの燃費を良くするために開発されたエコタイヤは、「転がり抵抗」を抑えていることが大きな特徴です。転がり抵抗とは、クルマが走行する際に発生する、タイヤと道路の摩擦によって生じる走行抵抗の一種。ただし気をつけたいのは、転がり抵抗とグリップ力は、基本的に相反するものだということです。
「普及し始めた頃にエコタイヤを試してみましたが、雨の日は食いつきが悪くなると感じました」と安藤店長。エコタイヤが登場した当初は、転がり抵抗を抑えて燃費性能に貢献できる反面、グリップ力が低くなってしまい、道路が濡れている状況では少々心もとない。これが黎明期だったのです。
しかし、長い年月が過ぎて進化を続け、現在のエコタイヤはこうしたグリップ力の弱点を克服しています。
「最近のエコタイヤは各社で工夫をされていて、エコ性能を維持しながらも、ウェット性能も優秀になっています」。
なお、エコタイヤはJATMA(日本自動車タイヤ協会)によってグレーティングシステム(等級制度)が制定されており、一定以上の品質を保っているタイヤを「低燃費タイヤ」と定義しています。タイヤ各モデルは、転がり抵抗係数を「AAA」「AA」「A」「B」「C」の5段階、ウェットグリップ性能を「a」〜「d」の4段階で評価し、この範囲に入るものが「低燃費タイヤ」とされます。この評価は各タイヤメーカーのWebサイトなどでも公表されています。

プラスαの静粛性に優れる DUNLOP ル・マン ファイブ


エコカー向けのタイヤに、代表例としてトヨタ・プリウスをイメージしたうえで、安藤店長が最初におすすめとして挙げたのは「DUNLOP LE MANS V(ル・マン ファイブ)」です。
「転がり抵抗係数がAA、ウェットグリップ性能はb(サイズによってc)評価。低燃費タイヤとしては性能面でかなり上位に位置するタイヤです。また、特殊吸音スポンジの『サイレントコア』が搭載されていて、走行時の静粛性も魅力です」。
DUNLOPには「エナセーブ」シリーズがあるものの、安藤店長のおすすめはル・マン ファイブ。その理由は、静粛性というプラスαの魅力にあるそうです。
「エコカーは新車時点でエコタイヤをはいていることがほとんどです。そこから新品タイヤに交換するのですから、やはり前より良くなったと感じていただきたい。ル・マン ファイブの静粛性はハッキリ体感できる特徴です」。
店頭に実物が展示されていれば、タイヤを叩いたり、中から声を出すことで、サイレントコアによる静粛性が体感できるほど、その違いは明確です。

雨の日も安心なグリップ性能 TOYO TIRES ナノエナジー3プラス


安藤店長が次に挙げたエコカー向けおすすめタイヤは「TOYO TIRES NANO ENERGY 3 PLUS(トーヨータイヤ ナノエナジー・スリープラス)」。
「コストを抑えられるスタンダード低燃費タイヤとしては、ウェットグリップ性能がbで優秀です。また、サイズのバリエーションが豊富でおすすめしやすいですね」。
TOYOタイヤのナノエナジーシリーズには3種類があり、スタンダードである「ナノエナジー・スリー」から、ウェット性能を高めたモデルが「ナノエナジー・スリープラス」です。なお、転がり抵抗係数AAA、ウェットグリップ性能aという最高評価の低燃費タイヤ「ナノエナジー・ゼロ」もラインナップされていますが、2019年春時点ではサイズの選択肢が少ないため、今後のサイズ展開が待たれるといった状況です。

高速度域での走行が多い人に TOYO TIRES プロクセスC1S


主にプリウスをイメージしたエコカー向けおすすめタイヤ。3つめに安藤店長が挙げたのは「TOYO TIRES PROXES C1S(トーヨータイヤ プロクセス・シーワンエス)」でした。
「高速道路を走行することが多い人におすすめの上質なタイヤです。高い速度域で安定性が向上しますし、サイズのバリエーションは豊富です」。エコカーと言えども、高速道路を使った長距離移動が多いのなら、用途に合わせてタイヤを選んでほしいというわけです。
プロクセス・シーワンエスは、高速度域での安定性に優れたタイヤですが、転がり抵抗もしっかり低減されています。先に挙げた2つのタイヤよりは若干コストが高くなるものの、用途が合うならばエコカー向けタイヤとしても有力な候補になるでしょう。

良好なバランスが魅力 MICHELIN プライマシー4


「エコカー向けタイヤ3選」をテーマに安藤店長へ聞いてきましたが、先述の3つに続くもうひとつの提案として「MICHELIN PRIMACY 4(ミシュラン プライマシー4)」が挙がりました。
「静かなうえに、タイヤの剛性感がカチッとしておりハンドリングが素直な印象です。また、高速道路でも安定します。バランスに優れたタイヤですね」と。
実は、タイヤのエコ思想は、「グリーンタイヤ」を掲げたミシュランが始まりだとされています。そのミシュランが現在ラインナップしているプライマシー4は、同ブランドのプライマシー3から、主にウェット性能を向上させたプレミアムコンフォートタイヤ。低燃費タイヤとしての等級評価では、転がり抵抗係数がAA〜A、ウェットグリップ性能がa~b(サイズにより異なる)と極めて優秀です。なお、コスト面では先述のプロクセスC1Sと同程度。予算とサイズが合うならば、積極的に選びたいタイヤといえます。

ピッタリのタイヤ選び、専門店で相談を

エコカーでは特に重視される経済性。消耗品であるタイヤもその観点で選びがちですが、タイヤは安全に直結する要素でもありますから、価格だけ見て選んでしまっては、安全性がおろそかになってしまいます。
大切なのは、どのようなクルマを、どのように使っているかです。
「クルマそれぞれの特徴や、使いみちにあったタイヤ選び。コストの相談も含めて、お気軽にクラフト各店のスタッフまでご相談ください」。