ルックスの良さを左右する タイヤ幅と偏平率の関係をおさらいする

タイヤにはいろいろなサイズがあり、サイズは幅、高さ(直径)で測ることができます。幅には軽自動車で多く見られる「145」といった細いものから、スポーツカータイプに見られる「285」といったかなり太いものまであります。
タイヤのサイズが多岐にわたるのは、ボディサイズ、排気量が異なる車ごとにタイヤに求める用途が異なるためです。
車にはあらかじめ適性のタイヤサイズがメーカーから決められていますが、購入後、タイヤとホイールを交換してのインチアップも可能。購入後のカスタマイズは、車を自分好みに仕上げていく喜びがあります。
ここではタイヤの幅、偏平率を解説するとともに、その違いが運転にどのような効果をもたらすのかを紹介していきます。

タイヤ幅はmmで表記される

タイヤ幅はmmで表記される
タイヤサイズはタイヤの側面(サイドウォール)に書かれています。「185/55/R15」など、数字とアルファベットの組み合わせで書かれ、「イチハチゴ、ゴーゴー、ジュウゴ」と数字だけを読み上げます。
一番最初に書かれる数字がタイヤの幅を指していて、この場合であれば185mm、つまり18.5cmのタイヤ幅であることがわかります。
なお、サイズの表記は側面(サイドウォール)だけでなく、車の取り扱い説明書、運転席側ドアの内側、輸入車の場合は給油口に数字を明記したステッカーが貼ってある場合もあります。
また、幅はmmで表記されると書きましたが、海外のタイヤの場合、インチで表記されることもあります。

知っておきたい3つの幅

まず、知っておきたいのが、サイズに書かれるタイヤ幅というのは、タイヤの「断面幅」のことです。実はタイヤの幅と一口に言っても、3種類に細分化されます。
下記で3種類の幅について解説します。

  1. 総幅・・・側面(サイドウォール)に描かれる模様、文字を含めた直線距離で計測した幅。
  2. 断面幅・・・側面(サイドウォール)に描かれる模様や文字は含まず計測した幅。この数字がサイズとして書かれます。
  3. トレッド幅・・・タイヤが実際に路面に接地する部分の幅。①②は接地しないタイヤ側面(サイドウォール)の膨らみも幅として測りますが、③では測らない点が大きな違いです。

幅に細かな違いがあるということは、ホイール交換の際、重要になります。前述したように、サイズに書かれる幅は、タイヤを所定のリム(推奨リム幅)に組み、規定の空気圧を充填した上で側面(サイドウォール)の膨らみも含めた②の断面幅のことです。ホイールのサイズを変える場合は表記のサイズから変わることになるので注意が必要です。

タイヤ幅による違い

タイヤ幅による違い
タイヤ幅が違うことで、どのような良し悪しがあるのでしょうか。タイヤの幅(断面幅)の数値が大きいほど、路面との接地面積が広くなるため、グリップ力が高まります。グリップ力とは路面をつかむ力のこととイメージすればわかりやすいでしょう。グリップ力が高いほど急なブレーキ時にもしっかり止まり、制動距離もより短くなります。
走行性能を重視するスポーツカーほど、とうぜんタイヤ幅が広くなります。たとえば人気のミシュラン「パイロットスポーツシリーズ」の「パイロットスポーツ2」のリアのタイヤ幅は295mm。一般的なタイヤに比べてかなり幅広となっていることが分かります。

偏平率について

「タイヤの偏平率」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。サイズが「185/55/R15」と書かれている場合、2番目に書かれる数字「55」が偏平率で、55%、という意味になります。

【扁平率(%)の求め方】
タイヤの断面幅(図W)÷タイヤの高さ(図H)×100

「偏平」とは「平べったいさま」という意味がありますが、タイヤの偏平率とは、タイヤが地面に接する部分の高さの「割合」のことです。一般的な乗用車の偏平率は50%~70%が一般的です。数値が大きい「高偏平タイヤ」ほどタイヤが高く(分厚く)、数値が小さい「低偏平タイヤ」ほどタイヤに厚みがありません。
数値が大きいほどタイヤは分厚いので、その分、路面からの衝撃を吸収しやすく、快適な乗り心地をドライバーにもたらしてくれます。加えて、タイヤが分厚く高いほどサイドウォールが増えるため、相対的に接地幅が少なくなる、と言えます。たとえば低燃費性能が期待できるエコタイヤの場合、接地幅をできるだけ少なくすることで転がり抵抗を抑えるべく、偏平率は高めになっています。

低偏平タイヤはスポーツカー以外にも

低偏平タイヤはスポーツカー以外にも
数値の小さい低偏平タイヤは、タイヤの厚みが薄く、相対的にホイールが大きく見えることもあり、スタイリッシュな印象を与えてくれます。主にスポーツカーで多く採用されているほか、大きなホイールに低偏平タイヤを履くセダンタイプも増えています。
また、写真のように高級車と位置付けられるミニバンタイプでも近年では低偏平タイヤも多く見られ、30系アルファードの18インチ車はフロント・リアともにサイズは「235-50R18」が指定されています。メーカー標準でも偏平率50%のミニバン、というモデルも珍しくありません。
では、見た目のスタリッシュさ以外の低偏平タイヤの利点とは何でしょうか。
タイヤに厚みがないのでサイドウォールが変形しにくい、接地幅が広いため直進安定性が増す、といったメリットが挙げられます。また、前述したように接地幅が多いため転がり抵抗は増えるものの、ハンドリングの応答性が高くなり、またタイヤ自体の重量も軽くなるため、よりスポーティな走りを楽しむことができます。さらに、良くも悪くも、路面の凸凹などの影響を受けやすくなるため、静かで安定した走りというよりも、スポーツ走行に向いている、ということが分かります。
なお、偏平率の低いタイヤほど交換作業が難しくなるため、店によっては「あまりにも低偏平なものは作業できません」というお店もありますので注意が必要です。「見た目はカッコいい低偏平タイヤが良いけど、乗り心地は今のままがいい」というわがままにきちんと対応してくれるお店は、実はそれほど多くはありません。しっかりした技術とノウハウを持つタイヤ専門店に相談してみましょう。