見た目重視で選んでOK! クロカン向けタイヤ3(+1)選(2019年春版)

舗装されていないオフロードにおいて、優れた走行性能を有するクルマは「クロスカントリー車(省略して「クロカン」)」などと呼ばれます。四輪駆動であることから「4×4(フォーバイフォー)」や「ヨンク」、あるいは「SUV(エス・ユー・ブイ、スポーツ・ユーティリティ・ビークル)」という呼び名も一般的です。
今回は、本格オフロード走行をイメージしたクルマのタイヤ選びについて、クラフト中川店の安藤直也店長にアドバイスをもらいました。
なお、こうしたタイヤのニーズは、オフロード走行をレジャーとして楽しむアグレッシブ派だけでなく、「オフロードテイストを強調したい」といった、ドレスアップ派への人気も根強くあります。今回は、それらを総合して「クロカン向け、おすすめタイヤ」をテーマに、具体的なタイヤを数点挙げてもらいました。

巨大なブロックパターンが目を引くクロカンタイヤ

巨大なブロックパターンが目を引くクロカンタイヤ
オフロードでの走行性能(しばしば「走破性能」と呼ばれます)を高めるために、各タイヤメーカーはゴツゴツとしたブロック状のタイヤパターンを採用しており、その形状から「ブロックタイヤ」と呼ばれます。
タイヤに刻まれた大きく深いブロック状のトレッドパターンやサイプ(溝)に加えて、扁平率を高めにして接地面積を広げています。滑りやすいオフロードであっても泥などをガッチリとつかみ、さらに、小石をものともせず、道の状態を問わず高い走行性能を確保するというわけです。一般的な乗用車向けのタイヤと比較すれば、ブロックタイヤは極めてゴツゴツしており、がっしりとした印象を感じるはずです。
普通のタイヤからブロックタイヤに交換する場合、同時にリフトアップをするなど、いわゆる足まわりのカスタムも合わせて行なう場合が多くあります。専門性が高く、豊富なノウハウが求められることから、オフロード車向けのカスタムを専門とするショップも存在していますが、幅広いタイヤを扱うクラフトでは、クロカン向けもしっかり対応できると安藤さんは胸を張ります。

直感的なカッコよさ TOYO TIRES オープンカントリー シリーズ

直感的にカッコいい TOYO TIRES オープンカントリー M/T
「ひとつめのおすすめは、TOYO TIRESさんのオープンカントリーシリーズです(※写真はオープンカントリーA/T)。中でもオープンカントリーM/Tはレース直系のタイヤですし、ブロックパターンを見ると直感的にカッコいい。つまり、性能が優れているうえに見た目も良いタイヤです」と安藤さんは切り出します。
TOYO TIRESに限らず、大手タイヤメーカーは国際的なレースへ積極的に参戦しており、レーサーたちをタイヤでサポートしています。これは、宣伝目的もあるのでしょうが、ノウハウを蓄積する効果が極めて高い活動でもあります。
メーカーが開発した新設計のタイヤを投入して、そのタイヤをはいたクルマがレースで優勝すれば、タイヤとして優れた性能を有することが証明できます(ドライバーの腕や監督の指揮など他の要素はあるとしても)。レースでは1秒未満の数字を必死に削ることが珍しくありません。ささいな違いが結果に大きく影響しますから、徹底的にタイヤ設計を煮詰めて生み出したものを、レースという真剣勝負の場に投入しているのです。
そうして得られたノウハウを、タイヤメーカーは市販のタイヤにも流用しています。つまりレースは、シビアな使用シーンを想定した究極的な実験場でもあるわけです。「TOYO TIRES OPEN CONTRY M/T(トーヨータイヤ オープンカントリー・エムティー)」は、まさにその代表例だと言えます。優れた性能と見た目がありつつ、コスト面ではライバルよりも比較的抑えられる点は大きな魅力です。

憧れのホワイトレター BF Goodrich オールテレーン

憧れのホワイトレター BF Goodrich オールテレーン
次に安藤さんが挙げたおすすめタイヤは、「BF Goodrich(BFグッドリッチ) ALL TERRAIN T/A KO2(オールテレーンT/A KO2)」でした。「ブロックタイヤではありますが、オフロード性能だけでなく、オンロードでの性能にも柔軟に対応したタイヤです。それに元祖ホワイトレター。街乗り中心のドレスアップ用途としてもピッタリです」。
安藤さんの言う「ホワイトレター」とは、タイヤのサイド面(タイヤウォール)にあるブランド名などの文字が、白く塗られていることを指しています。タイヤは黒色がほとんどを占めますが、そこに白文字があればひときわ目立ちます。ノーマルの黒一辺倒と比較して、強力なアクセントを作れるというわけです。
そしてもうひとつの豆知識。こうしたクロカン向けのタイヤでは、「オールテレーン」のように、用途を表現して商品名になることが多くあります。英語で表記すれば「All Terrain」。「All」は「すべて」、「Terrain」は「地形」。非常識な地形は別として、クルマが走る地形、つまりオンロードとオフロードを問わず、どちらでも得意ということが名前から分かります。

レース直系タイヤ BF Goodrich マッドテレイン

レース直系タイヤ BF Goodrich マッドテレイン
「オールテレーンから、オフロードに寄せた仕様のタイヤが、同じくBFグッドリッチさんのマッドテレーンT/A。こちらもレース直系のタイヤでおすすめです」。オールテレーンと同様に、マッドテレーンのマッドは「Mud」で「泥」のこと。ふんばりの効かない泥状の路面であっても、しっかり走ることができるというタイヤ性能を意味しています。商品名は「BF Goodrich Mud-Terrain T/A(マッドテレーンT/A)」。現時点でKM2とKM3の2種類があり、数字の多いほうが新型です。なお、BF グッドリッチはアメリカで人気のオフロードレース「Baja1000」で培ったテクノロジーを投入していると、Webサイトでも謳っています。
泥状の路面を走る際に問題が生じやすいのは、タイヤの溝に泥が入り込んで滑りやすくなってしまうことや、小石などによって傷が付いてしまうこと。普通の乗用車向けタイヤでは、あっという間に動けなくなってしまう道路でも、これらに対策した設計を施してあるBFグッドリッチのマッドテレーンなら、安心して走行できるというわけです。
ここで挙がったBFグッドリッチのタイヤ2種類は、ひとつ目に挙げたTOYO TIRESのタイヤよりもコストが少し高くなりますが、ブランド力や性能、見た目など、魅力的な点が多々あります。

街乗りで使いやすい NITTO テラグラップラー

もうひとつ注目したいタイヤとして安藤さんが挙げてくれたのは、「NITTO TERRA GRAPPLER(ニットー テラグラップラー)」でした。残念ながら店頭在庫が売り切れだったため実物を撮影できなかったのですが、分類としてはオールテレーン、つまりオフロードとオンロードを両立したタイプ。だから街乗りメインのドレスアップ用途としても選択しやすいタイヤだそうです。
「さりげなくオフロード仕様にドレスアップしたいというニーズにぴったりです。少し安めの価格設定になっていることも魅力ですね」と安藤さん。ワイルドな雰囲気でクルマをカッコ良く仕上げるドレスアップ志向ならば、手を加えたいポイントはタイヤ以外にもたくさんあるはず。それならばタイヤのコストは敢えて落として、他のカスタムに回すというのも賢い選択です。クラフトでは、ユーザーのニーズに合わせたご提案をする、その一例にもなりました。

初心者歓迎のクロカン専門店に注目

初心者歓迎のクロカン専門店に注目
クラフト店舗のなかには、「URBAN OFF CRAFT(アーバンオフクラフト)」のブランドを展開している店舗があり、これらはクロカンを中心とした、オフ系、上げ系(リフトアップ)のカスタム専門店です。
クラフトは、タイヤとホイールをメインとしたショップとして、足まわり全体をサポートできる体制を整えていますが、アーバンオフクラフトは、さらにリフトアップ用サスペンションをはじめとしたクロカン、SUV向けのカスタムパーツを豊富にそろえて対応力を高めています。
「クラフトでもオフロード専門店と同等のセッティングができますし、関連パーツも扱っています。オフロード用途のタイヤをお求めの場合でも、ぜひお気軽にご利用ください」。